Q&A よくあるご質問Q&A よくあるご質問

  • Q1. お金はどれくらいかかるのでしょうか?Q1. お金はどれくらいかかるのでしょうか?

     法定後見の場合、事務費用や後見人等の報酬は、本人の財産から支払われることになりますが、報酬は資力その他の事情によって、家庭裁判所が決定します。
     任意後見の場合、ご依頼される方の事情に応じて、契約の中で決定することになります。

  • Q2. 誰が後見人になるのでしょうか?Q2. 誰が後見人になるのでしょうか?

     親族の中に適任者がいる場合、その親族が後見人になることができます。ただし、家庭裁判所の判断で、法律や福祉の専門家を選任する場合もあります。
     成年後見人等候補者にお心当たりのない方については、リーガルサポートの後見人・後見監督人候補者名簿に登載されている会員(司法書士)の中から、候補者を紹介することもできますので、お気軽にお問い合わせください。

  • Q3. 後見人は身元引受人になってもらえるのですか?Q3. 後見人は身元引受人になってもらえるのですか?

     施設に入所される場合に、身元引受人や保証人を求められることがあります。成年後見人は、身元引受人や保証人にはなれません。ただし、施設が身元引受人等を求めるのは、退去しなくてはならなくなった時や、施設利用料の不払いが起こった時の対応を求めるためです。
     成年後見人は、職務として、退去後の入所する施設等を探したり、滞りなく施設利用料を本人の財産から払っていきますので、成年後見人が就任することで、身元引受人の役割は不要となることを説明することになります。

  • Q4. 代理権について教えてください。Q4. 代理権について教えてください。

     成年後見人は本人を代理して、全般的に本人の代わりに契約を行ったり、必要な支払いを行ったりします。
     保佐人、補助人には、それぞれ範囲に差がありますが特定の行為について同意権や取消権が与えられます。さらに、本人の了承を得た上で代理する行為の内容を決め、裁判所から認められた行為についてのみ、代理権が与えられる場合があります。
     任意後見人については、契約の中で任意後見人にやってほしいことのリストを作り、その契約で決めた範囲で職務を行うことになります。

  • Q5. 取消権について教えてください。Q5. 取消権について教えてください。

     成年後見人は、本人を守るために必要があれば、本人の行った行為を取り消すことができます(日常生活に関する行為を除く)。例えば、悪徳商法にひっかかってしまい、不要なものをたくさん買わされたような場合、成年後見人は、本人の行った契約を取り消して、払ったお金を返すように請求します。
     保佐人については、重要な財産にかかわるようないくつかの行為について、保佐人の同意がなく行われた本人の行為を取り消しができます。ここに含まれていない行為についても、本人と相談の上、追加で定めることはできます。
     補助人については、本人が補助人の同意を得ずに行った場合に、補助人が取り消すことができる行為を本人と相談して決め、裁判所から認められれば、その行為については、補助人が取り消しをすることができます。

  • Q6. 成年後見人にできないことはありますか?Q6. 成年後見人にできないことはありますか?

     医療の同意(手術や輸血、延命措置をお願いするなど)、養子縁組をする、結婚・離婚をするといった行為などについては、成年後見人として行うことはできません。
     実際に本人を介護するなどの行為も成年後見人は行いません。ヘルパーに介護してもらうための契約を締結することが、後見人の仕事となります。
     また、成年後見人の職務は本人のお亡くなりまでですから、葬儀等については、原則として、ご親族が行うこととなります。
     なお、任意後見契約を締結する場合には、任意後見契約と併せて死後事務委任契約を締結することで、葬儀等についても依頼することが可能です。

  • Q7. 父の成年後見人になって、相続対策をしたいのですができますか?Q7. 父の成年後見人になって、相続対策をしたいのですができますか?

     成年後見人に就任すると、本人の財産を本人のために管理します。相続対策というのは、相続税の節税対策として本人の存命中に行うものですが、これは本人の利益のためにではなく、相続人の利益のために行うものであると考えられます。成年後見人は、本人の利益のために職務を行いますので、相続対策を行うことはできません。

  • Q8. 兄の成年後見人に司法書士が選ばれました。今までずっと私も兄の財産を把握していたのですが、成年後見人は教えてくれません。Q8. 兄の成年後見人に司法書士が選ばれました。今までずっと私も兄の財産を把握していたのですが、成年後見人は教えてくれません。

     成年後見人の立場としては、親族であっても、ご本人の財産を開示することには、原則として消極的にならざるを得ません。どうしても知る必要な理由があるのにもかかわらず、成年後見人より開示を受けられない場合には、家庭裁判所に開示請求をしてみてください。家庭裁判所が必要性を認めた場合にのみ、開示を受けることができます。
     なお、ご本人がお亡くなりになった後は、成年後見人は裁判所に終了の報告をした後に、相続人の方々に財産の報告とともに引き渡しを行うことになります。

  • Q9. 後見人の横領事件をたまに聞きますが、他人がなっても大丈夫でしょうか?Q9. 後見人の横領事件をたまに聞きますが、他人がなっても大丈夫でしょうか?

     家庭裁判所は、適正に職務を行うように、後見人等を監督しています。後見人等は家庭裁判所から後見事務報告を求められたとき、定められた期限を守り本人の財産状況、収支などを裁判所に報告することになります。
     リーガルサポートでは、適正な職務を行うための取り組みとして、名簿登載している会員に対して、①職務に必要な知識や情報に関する研修の受講を義務付けているとともに、②財産管理・身上監護の内容について、個人情報に配慮した上で、定期的に会員に報告を課すなどして会員の監督を行っています。

  • Q10. 成年後見制度を利用すると、どうなるのでしょうか?Q10. 成年後見制度を利用すると、どうなるのでしょうか?

     これまでは、本人に後見・保佐開始の審判がされると、医師、司法書士、弁護士、税理士等の資格や会社の役員、公務員等の地位を失うことになっていました。
     しかしながら、これらの資格等の制限は、成年後見制度の利用を妨げる一因であることから、本人の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されることのないよう、この度、資格等の制限について適正化が図られました。(令和元年6月14日公布「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」)
     したがって、本人に後見・保佐開始の審判がされたとしても、職業上の資格や地位を一律に失うことはなくなり、本人の個別的な状況に応じて判断されることになります。

  • Q11. 後見人に選任されたら、まず何をしたらいいのでしょうか?Q11. 後見人に選任されたら、まず何をしたらいいのでしょうか?

     後見人に選任されたら、まず本人の資産・収入・負債としてどのようなものがあるかなどを調査します。また、選任後一定の期限内に、本人のために年間の収支の予定を立て、年間収支予定表・財産目録等を作成し、家庭裁判所に後見事務計画等の報告をします。その上で、本人の意思を尊重し、生活状況に配慮しながら、入所する施設の選定をしたり、必要な医療が受けられるように医療機関と契約を締結したり、要介護認定の申請・更新の手続や、役所に医療保険証の交付等の請求をしたりなどします。

  • Q12. 成年後見監督人はどんな仕事をする人ですか?Q12. 成年後見監督人はどんな仕事をする人ですか?

     成年後見監督人は、成年後見人が適正に事務を行っているかどうかを監督することを仕事としています。家庭裁判所は「必要があると認めるとき」は、本人、その親族又は成年後見人の請求若しくは職権で成年後見監督人を選任します。成年後見監督人が選任される例で多いのは、親族が成年後見人に選任されたときに、司法書士・弁護士を成年後見監督人として選任するケースです。
     具体的には、親族成年後見人に経験不足その他、後見人としての権限行使に未熟な面がみられる場合や、資産が多額の場合、親族成年後見人による管理が難しい(不動産が多い場合や遺産分割協議が予定されているなど)場合に成年後見監督人が選任されることがあります。
     司法書士・弁護士が成年後見監督人として親族成年後見人の相談相手となり、または適切な助言・指導をします。

  • Q13. 後見制度支援信託とは、どのような制度ですか?Q13. 後見制度支援信託とは、どのような制度ですか?

     成年被後見人の財産のうち、日常的な支出に十分な預貯金を除いた金銭を後見制度支援信託の商品を扱う信託銀行等に信託し、被後見人の財産を管理する制度です。信託した財産は家庭裁判所の指示書がなければ払い戻すことができません。
     この制度を利用するときは、司法書士・弁護士の後見人がこの制度を利用することが適切かを判断した上で、信託に関する手続を行い、手続完了後辞任し、その後は親族後見人に後見事務を委ねます。本人の収入よりも支出の方が多くなる場合、司法書士・弁護士の後見人が設定した金額を信託財産から定期的に送金されるようにすることができます。

  • Q14. 成年後見人が責任を問われるものにはどのようなものがありますか?Q14. 成年後見人が責任を問われるものにはどのようなものがありますか?

     成年後見人は善良な管理者の注意義務が課せられていますので、この注意義務に違反し、成年被後見人に故意または過失により損害を与えた場合、損害賠償責任を負います。
     また、成年被後見人の財産を私的に流用した場合、業務上横領罪が成立し、刑事罰を受ける場合があります。

  • Q15. 市民後見人とはどのような後見人ですか?Q15. 市民後見人とはどのような後見人ですか?

     今後、後見制度を利用する必要のある方が増加し、司法書士等の専門職後見人だけでは後見人の担い手が不足することが予想されるため、一般市民の方で成年後見に関する一定の知識を身につけた後見人を言います。実際には、紛争性がない事案などあまり専門性が必要でない事案で就任することが多いようです。

  • Q16. 任意後見制度とはどのような制度ですか?Q16. 任意後見制度とはどのような制度ですか?

     任意後見制度とは、本人があらかじめ公正証書で結んだ任意後見契約に従って、本人の判断能力が不十分になった時に、任意後見人が本人を援助する制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時からその契約の効力が生じます。
     自分が元気なうちに、将来の判断能力が低下した時に備えて、自分が信頼して選んだ人と、自分の判断能力が不十分になった時に自分に代わってやってもらいたいこと(財産管理や施設入所契約締結等)を決めておく契約を任意後見契約といいます。

  • Q17. 後見(成年後見、保佐、補助)開始の審判の申立は、どのようにすればよいでしょうか?Q17. 後見(成年後見、保佐、補助)開始の審判の申立は、どのようにすればよいでしょうか?

     申立ては、申立人が家庭裁判所へ後見等開始の申立書や必要書類を提出して行います。原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てすることになります。
     申立てができる資格を有する人は法律で、本人、配偶者、4親等内の親族(本人の親・祖父母・子・孫・兄弟姉妹・甥・姪・いとこ等)、市町村長等と定められています。
     申立用紙は家庭裁判所で入手できます。家庭裁判所のホームページからダウンロードして入手することもできます。

  • Q18. 申立書類をどなたかに作成してもらえますか?Q18. 申立書類をどなたかに作成してもらえますか?

     自分ひとりで書類作成や必要書類の準備を進めていくことに不安を感じる方は、リーガルサポートかながわへご相談下さい。申立書類の作成を支援するお近くの会員を紹介します(ただし、書類作成の報酬が、発生します)。

  • Q19. 本人には身近な親族がいないのですが、申立てはできますか?Q19. 本人には身近な親族がいないのですが、申立てはできますか?

     申立てをすることができるのは、本人・配偶者・4親等内の親族のほか、市町村長が申立を行う場合もあります。これらは法律で決まっています。本人の判断能力が著しく低下している場合などは、お住まいの地域の行政担当者や地域包括支援センターにご相談ください。

  • Q20. 葬儀などの、死後の手続きもやってもらえるのですか?Q20. 葬儀などの、死後の手続きもやってもらえるのですか?

     本人が死亡すると、後見は終了します。そのため、原則として、成年後見人は本人の葬儀などの死後の手続きを行う権限までありません。
     しかし、実務上、成年後見人は、成年被後見人の死亡後も一定の事務(死後事務)を行うことが周囲から期待され、社会通念上、これを拒むことが困難な場合が多くあります。
     そこで、改正法では、以下の行為については、必要があるときは、「相続人の意思に反することが明らかなとき」を除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、行うことができることとされました。

    ①相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
    (例)相続財産に雨漏りがある場合にそれを修繕する行為
    ②相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
    (例)医療費、入院費及び公共料金等の支払
    ③死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(③の行為をするためには、家庭裁判所の許可が必要です)
    (例)
    ・遺体の火葬に関する契約の締結
    ・債務を弁済するための預貯金の払い戻し

    以上のように成年後見人が、一定の範囲で死後事務を行うことができることとされ、その要件が明確にされました。
     一方、任意後見の場合は、任意後見契約とは別に、死後の事務について公正証書等で定めることができます。任意後見契約は本人がまだしっかりされているときに、将来判断能力が衰えたときの約束事を定めるものですが、ご心配な場合は、併せて死後事務についても定めておくとよいでしょう。

  • Q21. もし、長生きしてお金がなくなってしまい成年後見人の報酬を支払えなくなってしまったら、どうなるのですか?Q21. もし、長生きしてお金がなくなってしまい成年後見人の報酬を支払えなくなってしまったら、どうなるのですか?

     成年後見制度においては、基本的に本人の財産の中から成年後見人に報酬を支払うこととされていますが、お金持ちのための財産管理の制度とならないよう、法定後見では様々な扶助の制度や、支援事業で支払われる場合があります。内容は各地域によって異なりますので、詳しくはお住まいの市町村の障害・高齢者担当などにお問い合わせください。

  • Q22. 成年後見人が就任したら、本人に関して、その成年後見人に何をお任せできるのでしょうか?Q22. 成年後見人が就任したら、本人に関して、その成年後見人に何をお任せできるのでしょうか?

     後見人になると、本人名義の預貯金等の管理・不動産の管理(家屋の修繕、賃貸物件の管理など)等の財産管理を行います。確定申告や、場合によっては生活保護の申請を行うこともあります。
     また、介護契約・施設入所契約・医療契約などの本人の身上監護を目的とした事務も行います。要介護認定手続やその更新手続などを行う場合もあります。
     ただし、「Q6.」の回答のようなことは後見人の職務に含まれませんのでご注意ください。

  • Q23. 親族以外が後見人に選ばれるのは、どのようなケースがありますか?Q23. 親族以外が後見人に選ばれるのは、どのようなケースがありますか?

     代表的なケースとして、以下のような場合には親族以外の者が後見人に選任されることがあります。
    (1) 親族間に意見の対立がある場合
    (2) 現金などの流動資産の額や種類が多い場合
    (3) 遺産分割協議など後見人等と本人との間で利益相反する行為がある場合
    (4) 親族が遠隔地に居住している場合
    (5) 本人について、訴訟・調停・債務整理等の法的手続を予定している場合

  • Q24. 本人が死亡したとき成年後見人は何をしなくてはならないでしょうか?Q24. 本人が死亡したとき成年後見人は何をしなくてはならないでしょうか?

     本人が死亡し後見が終了すると、家庭裁判所にその旨を報告し、成年後見終了の登記を行わなければなりません。その後、管理していた財産の収支を計算し財産目録を作成・家庭裁判所に提出し、相続人に財産を引き渡します。

  • Q25. 後見制度と家族信託(民事信託)との違いはどのようなところですか?Q25. 後見制度と家族信託(民事信託)との違いはどのようなところですか?

     後見制度は判断能力が不十分な方の権利や財産を守り意思決定を支援する制度ですが、家族信託は判断能力が十分にある状況から財産管理を始めることができる制度です。

     任意後見制度と同じく、ご本人(委託者:財産を預ける人)が元気なうちに、信頼できる個人や法人(※)(受託者:信託目的に沿って財産を預り管理する人)と信託契約を結び、不動産、現金など管理を任せたい財産を託します。信託された財産のことを信託財産といいます。

     後見制度の場合、ご本人(被後見人)の財産の所有権は、ご本人(被後見人)にあるのに対し、家族信託では、信託財産の所有権は受託者に移転します。所有権は受託者に移転しますが、信託財産から出る利益(例えば、信託不動産を売却した場合の売却代金や信託財産が賃貸物件の場合の家賃収入など)は受益者(利益を受ける人)が受けます。ほとんどの信託契約は、委託者と受益者は同じ人という設定で締結します。

     後見人は施設の入所契約や入退院の手続き、行政官庁の手続きなど様々な手続きを行いますが、家族信託の受託者は信託財産の管理・処分を通じて委託者を支援します。受託者には施設の入所契約などの代理権はありません。信託財産をどのような目的でどのように管理・処分してもらうかは契約の中で自由に決めることができます。家族信託ではより柔軟な財産管理が行えますが、そのため家族の現状に即していない契約内容にしてしまうと、契約を変更しなければならない場合もあります。

     家族信託だけで本人の保護が十分に図れない場合は、後見制度を併用して利用することもできます。

     家族信託を検討する場合は、家族信託に精通する専門家に依頼することを、強くお勧めします。

    ※信託業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことはできません。免許のない法人が受託者として信託報酬を得る場合には、信託業法への抵触の余地が出てきますので、ご注意ください。

  • 司法書士による各種相談(電話・面談)
  • 管轄家庭裁判所 県内の家庭裁判所のご案内